「価値あることをデザインで伝える」ビジュアルストーリーテラー・メイカー
2020年も残りわずかとなりました。今年は長い間家にいる中で、自分だけの何かを作ってみようと思うようになったのではないでしょうか。そこで、wadizでは多くの方々と一緒にバケットリストを実現するため、デザイン製品の制作を支援する「2020 バケットリスト実現プロジェクト」を実施しています。
デザイン製品を制作されたwadizの成功メイカーの方々が、どのような思いでクラウドファンディングを行ったのか気になったため、デザイン分野を代表する成功メイカーであるビジュアルストーリーテラー、クォン・ドンヒョンデザイナーにお話を伺いました。
会社でのプロジェクトが終わると、虚しい気持ちになりました。自分だけのプロジェクトでコンテンツを作れば、規模は小さくても、それが続いていくのではないかと思ったのです。
こんにちは。wadizです。まずは、メイカーさんのご紹介をお願いいたします。
こんにちは。世の中の価値あるストーリーを一枚の画像に作り上げているビジュアルストーリーテラーのクォン・ドンヒョンです。難しくて複雑な内容を、小学生から教授までが興味深く理解できるコンテンツを、デザインを通じて制作しています。

1年前にクラウドファンディングを実施されましたが、久しぶりにお連絡いたします。お元気でしたでしょうか?
今年の初めに進めようとしていた企画は、コロナ禍の影響で中止や延期となりました。それでも、ビジュアル・ストーリーテリングでできるプロジェクトを着実に続けています。上半期には、アンタクト時代で旅行に行けない方が多いことを踏まえ、『家で探せるソウルの宝物』という本を出版しました。漢陽都城周辺の宝物を巡る内容です。
インタビューをご覧になっている皆様に、ビジュアルストーリーテラーとしての活動やクラウドファンディングについてご説明いただけますか?
簡単に言えば、ストーリーをビジュアルで表現する作業を行っています。昨年の今頃、wadizで『1枚で見る朝鮮王朝実録』のクラウドファンディングを実施しました。今後は、医療や法律など難しい内容をビジュアルで表現する作業に取り組みたいと思っています。私自身も学びながら可視化を進めていけば、多くの方のお役に立てると思います。

ビジュアルストーリーテラーによる『朝鮮王朝実録』クラウドファンディング
難しいテーマをデザインを通じて分かりやすく解説してくださる点が印象的です。子供たちや歴史に詳しくない方でも気軽に親しめる内容ですね。もともと歴史に興味が深く、いわゆる「歴史オタク」だったのでしょうか?
もともと友人たちよりは歴史に興味がある方でした。でも、ある意味ではこのプロジェクトは「どれほど難しいか分からなかったからこそ」始められたのだと思います。どれほど難しく重いテーマなのかを知らずに、やみくもに飛び込んだんです(笑)。
絵を描いたりデザインをしたりする方なら皆そうだと思いますが、まず私は自分が興味のあるテーマを選ぶんです。歴史を選んだ理由は まだ知られていない部分や、あまり大衆化されていない内容を扱う方が面白いだろうと思ったからです。

ヨーロッパや日本のような先進国では、歴史に関するビジュアル資料が本当にたくさんありますが、それに対して韓国の記録物は主に書籍として残っているのが残念でした。特に朝鮮時代といえば、主に時代劇のイメージを思い浮かべて想像してしまいますよね。記録物をビジュアルで豊かに表現すれば、人々が歴史を想像する方法も豊かになるのではないかと思い、『朝鮮王朝実録』の制作を始めました。
ふと、以前はどのようなお仕事をされていたのかも気になります。
以前は会社に勤めながら、主に博物館の展示や映画、ドラマの美術コンセプトを考案する仕事をしていました。会社で仕事をしているうちに、自分自身のコンテンツを作りたいという気持ちや、漠然と、多くの人々の役に立つような有意義な絵をずっと作り続けたいと思うようになりました。
会社でのプロジェクトが終われば、私にとっても終わりになってしまうからです。プロジェクトが終わると、虚しい気持ちになりました。私の中に残り、私が広げていけるものではないので、成果物とは別に物足りなさを感じていたのだと思います。それでも、自分だけのプロジェクトとしてコンテンツを作れば、小さくても継続的に繋がっていくだろうと考えました。

会社に勤めていると、個人のプロジェクトを始めても途中で諦めてしまいがちですが、最初の作品を世に出すまでどれくらいかかりましたか?
『朝鮮王朝実録』は、会社に勤めながら少しずつ少しずつ制作していきました。そして、会社に勤めながら途中で大学院にも通いましたが、論文のテーマとして選定し、制作を進めながら発展させていきました。総制作期間は3~4年ほどになります。
作品を完成させた後、どうすればいいのか分かりませんでした。デザイン小物と言うには少し違うし、歴史と教育を横断する内容だったため、どう披露すればいいのか見当がつかず、そのまま放置していました。
その後、wadizでのクラウドファンディングを始められたのですね。
長い時間をかけて『1枚で見る朝鮮王朝実録』を作り上げましたが、これを一般の人々に届ける方法は多くありませんでした。ささやかにアートマーケットやフェアに出展するくらいしかありませんでした。
会社を辞めた後は、クラウドファンディングを通じて多くの方からフィードバックや反応を確かめようと思いました。 「これが本当に正しい道なのか」と悩んでいた最中だったんです。周りの友人たちも「歴史はつまらない」と言うし(笑)、なんだかクールじゃないような気もして。だから、自分自身に「この仕事を続けても大丈夫だ。地道に続けてもいいんだ」と証明する方法が必要でした。

今もこの仕事を続けているのを見ると、その試みが成功したということですね!
はい、その通りです。自分一人で制作した作品だったのに、予想以上に多くの方に気に入っていただき、本当に感謝しました。だから梱包している時もとても幸せでした。「こんなに大量に梱包するなんて」と思いながら、誇らしくて幸せでした。
皆さん、その過程が一番大変だと言いますが、意外ですね(笑)。初めてのクラウドファンディング、難しくはなかったですか?
実は会社にいた時に、wadizで一度クラウドファンディングをしたことがありました。でも、その時は会社でチームと一緒にやる仕事だったので、もう少しスムーズに進められた気がします。一人でやると簡単ではありませんでした。クラウドファンディングのために、ポスター以外にも他の商品(掛け軸、ポケットパッケージ、ぬりえ用紙など)を制作し、以前から作っておいた作品を修正しました。サンプルも何度も作り、デザイン案もたくさん作りました。
一人でやるべきことが本当に多かったです。印刷の過程で、2回ほど印刷して破棄する作業をしたと思います。それまでは気づかなかった修正点が、印刷して初めて目につくことがよくありました。廃棄した紙だけでも……(涙)

『1枚で見る朝鮮王朝実録』のクラウドファンディングにサポーターが残した期待の声
クラウドファンディングが 終了してから1年が経った今、デザイナーさんにとってクラウドファンディングはどのような意味がありましたか?
自分が望む方向性を素早く定めるきっかけになると考えています。クラウドファンディングは、私にとって迅速に検証を受け、素早く制作を進めていける原動力となりました。また、クラウドファンディングを行った後、想像もしていなかったところから多くの連絡が来ます。歴史以外にも、他の分野の専門家や企業から、何かプロジェクトを一緒にやろうという提案をいただいたり、出店してほしいという連絡もたくさんいただきました。
また、クラウドファンディング終了後にデザインフェスティバルやイラストフェアに参加した際、「wadizで見た」という声を多く耳にしたり、クラウドファンディングが終了して購入できなかったという感想を聞いたりもしました。デザイナー個人としても、デザイン会社としても、少し認知度が上がったように感じます。周囲からも多くの応援をいただいています。
個人的に意義深かった作品が、他の方々に知られて、さらに嬉しいです!ご提案を受けて進められた作品の中で、面白かったものを紹介してください。
『朝鮮王朝実録』をご覧になった自動車デザイン研究所から、自動車の歴史を『朝鮮王朝実録』のように制作してほしいという依頼がありました。そこで、『朝鮮王朝実録』の自動車版を作ることにしました。最初の自動車が誕生して以来、毎年ベストモデルを選出して描くという方式でした。

年度ごとのベストモデルとして制作された自動車のビジュアルストーリーテリング作品
わあ、本当に面白い作品ですね。ストーリーが込められた画像の力が感じられますし。クォン・ドンヒョンデザイナーが考えるビジュアル・ストーリーテリングの魅力について教えてください。
ビジュアルストーリーテリングの魅力は、簡単かつ迅速に、そして楽しくストーリーを伝えられる点にあります。言葉で説明すると難しい内容でも、イラストで見ると分かりやすく、面白く感じられるものです。
私はストーリーをデザインで伝える者として、絵を見ながら物語を語り合うきっかけが生まれることが楽しいと思います。親が絵を見ながら子供たちに話をしてあげたり、人々が絵を見て当時の物語を想像してみたりするようなことです。小さな手がかりを通じて豊かな想像力を発揮できるという点こそが、ビジュアル・ストーリーテリングの魅力ですね。
今後の作品がさらに楽しみですね。最後に、今後予定されている計画があればお聞かせください。
今年下半期の発売に向けて制作しているのは、『一目でわかる李舜臣と壬辰倭乱』という作品です。韓国を代表する偉人たちを可視化しています。
このほか、進行中のプロジェクトとして『一枚で見る朝鮮王朝実録』シリーズの構想があります。少し時間をかけて、大きなプロジェクトとして進めていこうと思っています。近現代史や世界史のシリーズも制作して皆さんにお見せしたいのですが、資料集めが難しく、少し時間がかかってしまっています。もう少し時間がかかっても、より完璧に準備してみます。ご期待ください。